九州大学ビジネス・スクール

EDUCATION SYSTEMQBSの教育体制

使命・目的

ビジネス教育の責任態勢

九州大学ビジネス・スクールでは、その「使命」と「目的」を明確に認識した上で「教育目標」を設定しています。ビジネス・スクールの教育目標を達成するためには、社会のニーズとアカデミックな基盤を満たすような教育内容が定められる必要があります。

QBSでは、常に内外のビジネス界の動向や環境を見極めつつ教育内容を検討しており、ビジネス界の意見を取り入れると共に、最先端のビジネス研究や経営理論を反映した教育内容を意識しています。内容の濃いビジネス教育を行うためには、まずQBSが育てようとする「経営と産業技術の知見をもって変革をリードし、アジアで新たな事業価値を創造する国際的なビジネス・プロフェッショナル」にはどのような力量が必要か、そのために適切な科目配置が出来ているかという観点から教育体系を整備しています。更に、こうした教育体系やカリキュラムによって、求めるべき力量が達成できているのか、そうした力量の達成ができるような教育方法が採られているかという観点からも、常々点検が行われています。例えば、「学生の成績分布」「実務界(含、修了生や社会人在校生)の満足度評価」「第三者評価機関による点検」などにより、客観的な点検を行っています。これらの教育態勢は、しっかりとした教員や教育環境によって担保される必要がありますが、QBSでは優れた教員と、学生の勉学支援体制を充実することにより、教育効果を最大限に高める努力を行っています。このように、QBSでは、責任あるビジネス教育の提供のために、日々研鑽と努力を重ねています。

具体的な態勢及び詳細については、次の各項目をご覧下さい。

使命・目的・教育目標

使命

九州圏で最初の本格的なビジネス・スクールとして平成15年4月に開校しました。世界に通用するビジネス・プロフェッショナルを九州の地で育成することを目指しています。

目的

本専攻は、先端的なビジネスの知識と高度なアドミニストレーション能力をもとに、産業や企業のグローバルな展開を主体的に担い、また技術とビジネスの連携を先導するマネジメント能力を発揮して、新時代の産業社会を切り拓いてゆくビジネス・プロフェッショナルの育成をめざしています。

教育目標

九州大学のビジネス・スクールが目指すのは、「世界に通用するビジネス・プロフェッショナル」です。特に、「経営と産業技術を理解し、アジアで活躍できるMBA」です。入学後、全員がビジネス・リーダーに必要な基礎的科目(アカウンティング、マーケティング戦略、企業財務など)を学びますが、専門科目には、知的財産管理、研究開発マネジメント、イノベーション・マネジメントなどの技術関連科目が配されています。これにより、理科系・文科系の出身を問わず本格的な技術マネジメント教育(MOT : Management of Technology)に触れることができます。また、多くの科目においてアジアが意識されます。アジア志向は九州大学の研究教育活動の主要な柱であり、長年の蓄積があります。QBSにおいても、アジアに造詣が深い教員によるアジア関連の科目が用意され、アジア・ビジネスでも活躍できる人材の育成を目指します。

教育内容「経営と産業技術の知見をもって、アジアで新たな事業価値を創造する国際的なビジネス・プロフェッショナル」の育成

本専攻では、経営専門職に求められる知識、能力を修得するための科目によりカリキュラムの構成を行っており、「経営と産業技術の知見をもって変革をリードし、アジアで新たな事業価値を創造する国際的なビジネス・プロフェッショナル」を育成すべき人材像としています。こうした人材を育成するための教育プランは次の考え方によって構築されています。

力量要素理由期待達成レベル
(力量)
QBSにおける対象科目
(注1)
どのような力量要素を有するビジネス人材を養成するか? 力量要素を選定した理由は何か? どのレベルまで到達すればよいか? 必須科目 選択科目
国際性 -ビジネス界による要請

-経済社会のグローバル化への対応は必須

-QBSは、特にアジアビジネスで活躍できる人材を養成
-基礎的なビジネス英語力
(英語による授業における、プレゼン、発表能力)

-グローバル社会のビジネス構造理解事例における国際経営知識の適切な適用力
・英語によるビジネスコミュニケーション
・マーケティング戦略
・国際経営
・中国ビジネス
・国際ロジスティクス
・アジアの産業と企業
・異文化コミュニケーション
・国際マーケティング
・国際企業分析
・アジアビジネス戦略
・企業価値創造とM&A
論理性 -ビジネス界による要請
-様々なビジネス判断やコミュニケーションにおいて論理的アプローチは必須
-論理的なコミュニケーション力

-論理的な執筆力

-論理的なプレゼンテーション
・ほぼすべての科目
・プロジェクト演習
戦略性 -ビジネス界による要請

-様々なビジネス判断において戦略的思考が必要
-戦略論の理解

-戦略思考をもった発言、議論

-事例等における適切な適用力
・マーケティング戦略
・企業財務
・企業戦略
・戦略的人的資源管理
・パブリック・マネジメント
・知識マネジメント
倫理観 -ビジネス界による要請

-道徳的な職業行動、倫理的判断などは、企業の社会的責任を果たすために欠かせない
-企業倫理、企業の社会的責任の基礎的理解

-事例等における適切な適用力
・企業倫理
・組織マネジメント
・コーポレート・ガバナンスと監査
・経営リスクマネジメント
リーダーシップ -ビジネス界による要請

-チームや組織をリードできる能力がなければ、ビジネスの発展が不可能。
-ビジネスにおけるリーダーシップについての基本的理解

-事例等における適切な適用力
・組織マネジメント ・戦略的人的資源管理
・マネジメント・コントロール
会計感覚 -ビジネス界による要請

-事業を運営するためには、会計知識とそれを利用した判断が欠かせない
-財務会計と管理会計の基本的理解

-会計知識の事業推進への適切な応用力
・アカウンティング ・財務会計
・管理会計
・タックスマネジメント
財務センス -ビジネス界による要請

-資金の効率的調達と効果的運用の方法を理解していなければビジネスの管理運営や企業価値向上のための経営判断が出来ない
-企業財務の基本的理解

-事例等における財務知識の適切な応用力
・企業財務 企業価値創造とM&A
・ファイナンシャル・マネジメント
・国際企業分析
情報・計数感覚 -ビジネス界による要請

-的確な情報を入手できる力を持ち、それらの情報について、計数的に分析し予想できる能力が必要
-企業情報や各種データを的確に入手できる力の涵養

-統計的知識、企業分析上のデータ処理知識の基本的理解事例等における適切な応用力
・企業財務 ・ビジネス統計
・国際企業分析
リスク感覚 -ビジネス界による要請

-問題点や不確実性の分析と処理についての技量がなければ、問題や変化に対応できない
-事業におけるリスクマネジメントの基礎的理解

-事例等におけるリスク管理の適切な応用力
・組織マネジメント
・マーケティング戦略
・企業倫理
・経営リスクマネジメント
・ファイナンシャル・マネジメント
・その他、多くの科目
技術経営の理解 -ビジネス界による要請

-ものづくりや技術管理についての理解は、わが国のビジネスプロフェッショナルには重要
-ものづくりにおける基礎的知見の習得技術を核にした経営管理の基礎的理解

-知的財産管理に関する基礎的理解
 
 
 
 
 
 
 

-

・イノベーションマネジメント
・知識マネジメント
・生産管理
・知的財産管理
・プロジェクトマネジメント
・先端技術分析
・研究開発マネジメント
・産学連携マネジメント
・ベンチャー企業
産業・経済知識 -ビジネス界による要請

-産業の動き、経済のメカニズムについて理解することにより、従事するビジネスの位置づけを知ることが出来る
-産業や経済の動向を科学的(経済学、産業論等)に把握する基礎力

-それらの力を業務運営に反映させる応用力
 
 
 
 

-

・経済学
・産業と技術
・産業と政策
法務センス -ビジネス界による要請

-事業の法的要請やコンプライアンス態勢への理解が必要
-企業経営における法務面の基礎的理解

-事例等における適切なコンプライアンス対応力
 
 
 

-

・ビジネス法務
・知的財産管理
・タックスマネジメント

(注1)対象科目は、代表的な科目を明示した。ひとつの科目において、多重な「力量要素」を包含している科目も多く存在する。

教育方法

科目それぞれの特性に合わせて、講義、討論、演習形式、グループ学習、ケーススタディ、ゲーム・シミュレーション、フィールド・スタディなどの方法が適切に採用されています。具体的には次の通りです。

具体的方法 背景と成果
双方向(教員/学生のやりとり)、 多方向性(教員/学生、学生/学生のやりとり)の授業 ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら「双方向、多方向性授業」を導入し、多くの授業で採用されている。
・ 「論理的発言」「積極性」「リーダーシップ」などの涵養に特に効果をあげている
ディスカッション形式の重視 ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら「討論、ディベート」などを授業に導入している。
・ 「説得的発言」「判断力」「リーダーシップ」「コーディネート力」などの涵養に特に効果をあげている。
ITを利用した実践的授業 ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら「IT」設備やツールを授業に導入している。
・ 特に、「計数的分析力」「財務分析」「統計的分析」などの涵養に効果を上げ、即戦的な効果が上がっている。
外部講師(外部の経営者、実務プロフェッショナル等)を 招聘した実社会の現状理解(注) ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら外部講師を導入している。
・ 特に、「現経営者」「高度な技量を有するビジネスプロフェッショナル」「外国人教員」など、専任教員では対応できないカテゴリーや専門分野について学生の知見を深めることに効果を発揮している。
ケース・メソッド方式の採用 ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら「ケース・メソッド」を授業に導入している。
・ 実際の経営現場や経営事例を疑似体験できるケース・メソッドは、学生の実践力、総合的判断力の涵養に効果をあげている。
インターンシップの推進 ・ 特にビジネス経験の少ない学生に対して、教員の指導の下でインターンシップが行われている。
・ 実務体験、実践的知見の習得に効果をあげている。
グループワークの採用 ・ 授業内容及び授業の特性をよく吟味しながら「プレゼンテーション」を授業に導入している。
・ ビジネス界で必要な「効果的に話す」「理論的に話す」「わかりやすく説明する」「説得的な説明を行う」「アトラクティブなパワーポイントの作り方」などの実践的技量を習得する効果をあげている。
演習形式(プロジェクト演習) ・ プロジェクト演習では、少人数制でゼミ形式の指導を行っている。
・ 特に、個々の学生の弱点などを強化したり、優れた点を伸長させる点に効果をあげている・ プロジェクト演習では、少人数制でゼミ形式の指導を行っている。
・ 特に、個々の学生の弱点などを強化したり、優れた点を伸長させる点に効果をあげている。

(注)外部講師は教育上のニーズに従って専任教員によって招聘されており、授業そのものは専任教員が統括している。

教育によって得られた効果

学生からの評価

平成22年度の修了時学生アンケートの集計結果によれば、本専攻に在学した2年間の総合評価について高い満足度(5段階評価で4及び5)を示した学生は89%(前年度比プラス13%ポイント)であり、満足度が高いことが示されています。 在学生及び修了生の生の意見は、「在校生・修了生の声」で知ることが出来ます。

社会からの評価

学生は有職者が90%近くを占め、在学中より「勉学を仕事に活かしている者」が殆どであるため、既にビジネス・スクールとしての使命を同時進行で担っている面があります。

本専攻の修了者は15期までで約639名になりましたが、修了者の動向をみると、「企業における業務の大幅な拡大や海外進出などでの貢献」、「ワン・ランク上の職務への登用」、「経営企画部門など経営の知見が生かせる部署への配点」、「より大きなプロジェクトへの従事」に加えて、後期課程(博士課程)進学者、起業なども多く様々な分野で活躍が見られます。

また、アジアビジネスやMOT分野で活躍する者も多数に上ります。

運営管理

教育管理運営組織

ビジネス・スクール独自の決定機関である「専攻運営会議」は、「専攻運営会議要領」に基づいて組織され、活動を行っています。

専攻運営会議は、産業マネジメント専攻長を議長として運営され、それを補佐する教員が専攻の執行部として活動しています。専攻運営会議が決定した事項の内、重要事項は「経済学府教授会」(内容によっては、「経済学研究院教授会」)において審議され、部局としての機関決定が行われます。

事務管理部門

ビジネス・スクールの運営を教務・技能・事務面から支援する業務は、人文社会科学系事務部学務課(経済)によって担われています。更に、ビジネス・スクールに固有の管理スタッフ部門からなるBS支援室が、ビジネス・スクールの固有業務の運営を補佐しています。


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