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TOPICSQBS教員紹介私は研究者として言語文化研究院に所属し、教育者としてQBSに所属しています。経済学府やQBSの諸会議にも出るフルメンバーですが、授業は後期の「異文化コミュニケーション」のみの担当で、そのかわり全学教育の英語科目等の企画運営も主務です。本来はノーム・チョムスキーの生成文法理論による現代英語の統語分析が専門領域ですが、昨今では言語文化研究院のICTまわりを担当しているうちに、コンピュータやネットワークを利用した英語学習についての教育実践やプロジェクトへの参画などがメインとなっています。これまでの数期の科研費や受託研究では、野村総研の3次元仮想空間チャットシステムによる英語対話授業について扱いました。このシステムは、日本の大学人で恐らく私しか継続的に研究して来ず、NHKの「英語でしゃべらナイト」でも紹介されました。またここ十年来、国立基幹七大学で開発中の外国語用LMS(ラーニング・マネジメント・システム)の開発・利用のプロジェクトに関与しています。単語集(研究社)や教科書(九大出版会、三修社、金星堂等)にも関わり、楽しく仕事をしています。しかし最もエフォートを注入しているのは、個人の資格で企画・運営している九大生対象の海外研修です。これはノーベル賞世界一の学問の牙城ケンブリッジ大学で英語と学術の専門科目や各種文化行事等を体験するもので、8カ月にわたる学内事前研修も売りです。現地との交渉や契約締結、安定した運営等について、経営感覚というものを経験しています。新刊の『ケンブリッジ大学英語・学術研修への招待:名門校で学ぶ、暮らす、国際人になる』(九州大学出版会)を御覧下さい。参加者がいかに生涯随一の感動的体験をして高みに昇り、交換留学等へ進んで将来の英語学習や専門領域の研究への強い動機を得ているかがおわかりいただけると思います。多趣味で、全学教育では英語の他に、映画や英国、英語の歌、天文学などについての科目も余興的に担当しています。この他趣味は鉄道(路面電車やケーブルカーを含めた日本の鉄道全線完乗の経験があります)や旅行など多幸症状態です(すみませ~ん)。QBSのラジオ番組も一番楽しいのは本人です。今後ともよろしく。鈴木右文(異文化コミュニケーション)QBS BOOKレビュー「この1冊」『その数学が戦略を決める』(Super Crunchers: Why thinking-by-numbersis the new way to be smart)イアン・エアーズ、文藝春秋(2007)合理的な意思決定を行うためには対象に対する十分な情報が必要である。本書の基本的なメッセージは、専門家と呼ばれる人々の「経験」や「直観」に頼った従来型の意思決定ではなく、それらを排して客観情報のみをベースとした意思決定を行うほうがより良い結果が得られるというものである。無差別抽出を行って十分なサンプルを確保し、適切な回帰分析を行えば、精度の高い将来予測が手に入る。専門家の見解は、そういった分析システムの使い手である絶対計算者(SuperCruncher)にとって一つの入力値にすぎない。一方、そういった絶対計算の成果を享受するためには、私たち一人一人が統計や数学のリテラシーを身に着けることが要請される。昨今、ビッグデータという言葉がよく聞かれる。ネットワークを通じて顧客の様々な情報を収集することでより効果的なマーケティングや事業運営が可能になるというのがその謳い文句である。イアン・エアーズの描き出した世界はまさにこのビッグデータが君臨する世界に他ならない。経験や勘ではなく、客観的なデータによって企業や政府の進むべき道が左右される局面が今後ますます増えてくるとすれば、企業のかじ取りを担う資質を有しているとされる「MBAホルダー」はどういった役割を担うべきであろうか?情報通信技術の発展により、私たちは伝統的なMBA教育の在り方、ひいてはMBAという学位そのものの価値を改めて見直すべき段階に来ているのかもしれない。少なくとも定量データに基づかないプレゼンは無価値とされる段階にあることは確かであろう。実積寿也(産業と政策)第18回ICABE学生交流プロジェクトタイ訪問2月28日から3月4日まで、平松教授同行のもとタイ、バンコクを訪問しました。Chulalongkorn大学との交流のみならず、企業訪問ではJETRO、タイ最大のインターネットショッピングモールTARAD.com、富裕層向け医ワークショップディスカッションの様子療のバンコク病院、JTBバンコク、そしてタイ最大の飲料メーカーOISHIを創業したTan氏が新たに設立したICHITANでも貴重なお話を伺うことができ、非常に充実したICABEとなりました。Chulalongkorn大学との交流においては少子高齢化に伴う日本のサービスをタイへ輸出した場合のビジネスプランについてディスカッションを行いました。非常に意欲的で優秀な学生ばかりで、日本の経済やビジネスについての意見を多くいただくことができ、有意義な時間を過ごすことができました。そこで最も印象的だったのがChulalongkorn大学の学生から「日本というブランド」の競争力が失われてきているという意見が複数のチームから出たことです。また、訪問したICHITANのTan氏の話の中にこういうコメントがありました。「かつては韓国や台湾は日本を真似していた。しかし今の日本は世界のビジネス環境の変化へ柔軟に対応することができず、残念ながら韓国や台湾のやり方に負けてしまっている」。日本贔屓として有名なTan氏が発する、その“肉声”に多くの気づきを頂くことができました。経済発展や技術革新の中で競争のゲームが変わってしまい、そしてその変化のスピードに対応できず競争力を失いつつある日本ですが、私達ICHITAN社訪問TARAD講義の様子─2─